炭素繊維の熱膨張係数<熱膨張ゼロのコンポジット>

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黒鉛の結晶は、炭素の六角形が層状に積み重なる六方晶形となっています。

そのため、六角形の面方向と厚み方向では、特性が大きくことなる異方性を持っており、面方向には高い弾性率、熱伝導率を有します。また、熱膨張係数(線膨張係数)も異方性を持っており、面方向では負の線膨張(熱の負荷により収縮)、厚み方向では正の線膨張を有するという特徴があります。 

炭素繊維は弾性率が高くなるに従い、黒鉛構造が発達するため、繊維方向の線膨張係数がマイナスになる特徴があります。発達した黒鉛構造を持つピッチ系高弾性率炭素繊維は、繊維方向の線膨張係数がPAN系炭素繊維よりもマイナスの度合いが大きくなっているので、プラスの熱膨張係数を持つ樹脂との組合せで、コンポジット(炭素繊維と樹脂の複合材料)の熱膨張係数をほぼゼロにするような設計が可能になっています。

技術資料|ピッチ系炭素繊維の日本グラファイトファイバー (ngfworld.com)

このような特性を活かして、宇宙空間で使用される人工衛星部材や、より高い加工精度が要求される工作機械など、温度変化による熱変形を制御することが必要な用途に広く使用されています。

 

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